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鎮火稲荷神社

ヒトヤドヒストリー

magazine 鎮火稲荷神社

人宿町人情通り。駿府城下町の一画、新通りと七間町通りに挟まれた
旧東海道の一辺であるこの通り界隈は、人々が集う交差点でもあり、様々な歴史の交差点でもある。
その歴史を深掘りし、通り過ぎて行った人々や事々の物語を紡ぐ。
今回は「鎮火稲荷神社」についてのお話し。

延焼を防ぎ、
鎮火稲荷として鎮座

 「鎮火稲荷神社」は人宿町人情通りを通り過ぎ、幾つかの角を曲がり、本通りへ抜ける手前に喧騒から離れて建っている。祭神は保食命(うけもちのみこと)という食べ物の女神。もともとは普通の稲荷だったが、ある時の火事がこの稲荷の手前で止まった。この時、このお稲荷様が延焼を防いでくださったと考え、鎮火稲荷として祀られるようになったという。そして現在の社は昭和二十年の戦災による焼失後、昭和三十四年に再建された。

火を鎮める結界

 さて、社のあった場所は、かつての静岡大火(昭和15年)で焼失。5年後の昭和二十年には再度、戦禍が襲う。静岡の街では火は特に恐ろしい記憶として刻み込まれている。
 ところで、人宿町人情通りは駿府城下町の町人が多く住んだ町人町の中にある。この鎮火稲荷神社はその町人町の南西の端にある。興味深いのはここからで、町人町のほぼ北西の端には静岡天満宮があり、そこには静銀稲荷社がある。この社は戦後、隣接する静岡銀行社から遷されたものだそうだ。更に町人町の北東(これは鬼門方向になる)には小梳神社があり、やはり境内にはお稲荷様が鎮座している。

鎮火のご加護

 鎮火稲荷神社は多くの稲荷神社がそうであるように、伏見稲荷の流造という神社建築の様式で建てられている。屋根はコンクリートで火はうけつけない。神の使いでもある狐が溶岩石のような台に座っている。賽銭箱の上、出っ張った屋根は拝向というが、ここには注連縄、そして紙垂(しで)が取り付けられている。注連縄は雲を、紙垂は雷を表すという。雷は、田の上に雨と書くことからもわかる通り、水に関係が深い。
 更に最強グッズを発見。社の賽銭箱と扉に饅頭のような形のもが描かれているが、これは宝珠といって、思い通りに宝を出すスーパーグッズだそうだ。竜王の脳の中にあるという。竜王は水中にすみ、雲や雨を起こす神通力を持っているそうだ。これを手に入れると多くの財宝が得られ、しかも、火に焼かれない。

 こんな風に、鎮火稲荷神社にはとてもたくさんの水に関係するものがあり火を鎮めている。人宿町人情通りは、3方向をお稲荷様に、南東の隅は宝台院によって、その結界の中にあり、鎮火のご加護の中にある。ありがたいことだ。

参考文献
静岡県神社庁静岡支部設立五十周年記念 「改訂 静岡市神社名鑑」 静岡県神社庁静岡支部編 
静岡中心街区誌 安本博 著

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